アニメ『ぐらんぶる』のあらすじと魅力|青春ダイビングコメディを解説

伊豆の青い海を背景にダイビング器材を持つ北原伊織と仲間たちが集まる青春コメディ風景 アニメ
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アニメ『ぐらんぶる』は、泳ぎが苦手で水を怖がる大学生・北原伊織が、仲間と海の魅力を知っていく青春ダイビングコメディです。

顔芸と絶叫が飛び交う陸上の騒がしさ、言葉が消える海中の静けさ。その強烈な落差が、本作を「勢いだけのギャグアニメ」で終わらせません。

アニメ『ぐらんぶる』のあらすじは?

『ぐらんぶる』は、伊豆で大学生活を始めた北原伊織が、ダイビングサークル「Peek a Boo」の仲間に巻き込まれ、少しずつ海へ近づいていく物語です。

男子校を卒業した伊織は、男女共学の伊豆大学へ進学します。

居候先は、叔父の古手川登志夫が経営するダイビングショップ「Grand Blue(グランブルー)」。店には美人の従姉・古手川奈々華と、同じ大学へ通う従妹・古手川千紗が暮らしていました。

青い海、美人姉妹との同居、待ち望んだ大学生活。

伊織の頭の中では、まだ入学式前なのに青春ラブコメの勝利演出が始まっています。

ところが、店内で待っていたのは、ダイビングサークル「Peek a Boo」、通称「PaB」の先輩である時田信治と寿竜次郎でした。

二人はダイビング経験が豊富で、海では初心者を支える頼れる先輩です。しかし陸上では、後輩を強引に騒動へ巻き込む困った大学生でもあります。

伊織はPaBの勢いに押され、理想とは正反対の大学生活へ突入。アニメ第1話「ディープブルー」から、本人の想像を軽々と超える災難に見舞われます。

夢見たキャンパスライフは、開始早々に方向を見失いました。

さらに、伊織にはダイビングショップで暮らすうえで致命的とも思える弱点があります。

彼は泳ぎが苦手で、水に対して強い恐怖心を持っているのです。

海を心から愛する千紗にとって、ダイビングを軽く考えているように見える伊織は歓迎しにくい相手でした。伊織は甘い同居生活どころか、千紗の冷たい視線を浴びながら暮らすことになります。

大学では、金髪の整った容姿を持つ今村耕平とも出会います。

一見すると爽やかな青年ですが、耕平はアニメや声優を深く愛する筋金入りのオタクです。伊織と耕平は初対面から互いの欲望を利用し合い、隙があれば相手を危機へ突き落とします。

二人は何度も裏切り合いますが、本当に困った場面では手を貸します。

美しい友情の言葉を交わすわけではありません。それでも、互いの最も格好悪い姿まで知ったうえで一緒にいられる、妙に信頼できる悪友になっていきます。

こうして伊織は、千紗、耕平、時田、寿、奈々華、浜岡梓、吉原愛菜らとともに、ダイビングと大学生活の騒動が入り混じる青春へ飛び込んでいくのです。

物語の転機となるのは、伊織が無理やり恐怖を克服する瞬間ではありません。

浅い場所で水に慣れ、器材を使えば呼吸できると知り、仲間がそばにいることを確かめる。その小さな体験の積み重ねによって、伊織の視界は少しずつ海の中へ開かれていきます。

最初から海を愛している主人公ではないからこそ、視聴者も伊織と同じ目線でダイビングの世界へ入れるのです。


『ぐらんぶる』はどんなアニメ?基本情報を整理

『ぐらんぶる』は、井上堅二さんが原作、吉岡公威さんが漫画を担当する、大学生活とダイビングを題材にした青春コメディです。

原作漫画は講談社の「good!アフタヌーン」で連載されています。テレビアニメでは、原作の高速な会話と強烈な表情に、声優陣の演技、音響、色彩、動きが加わりました。

項目 内容
作品名 ぐらんぶる
原作 井上堅二
漫画 吉岡公威
掲載誌 講談社「good!アフタヌーン」
ジャンル 青春、大学生活、ダイビング、コメディ
主人公 北原伊織
主な舞台 伊豆、ダイビングショップ「Grand Blue」
サークル Peek a Boo(PaB)
北原伊織役 内田雄馬
今村耕平役 木村良平
古手川千紗役 安済知佳
時田信治役 安元洋貴
寿竜次郎役 小西克幸

テレビアニメSeason 1は2018年に放送され、伊織の大学入学、PaBの仲間との出会い、水に慣れていく過程など、シリーズの土台を描きました。

Season 2は2025年7月7日に放送開始。北原栞、毒島桜子、乙矢尚海らが物語へ加わり、大学生活だけでなく、家族、恋愛感情、人間関係をめぐる騒動が広がります。

Season 3は2026年7月6日から順次放送開始。高松信司さんが監督・音響監督・脚本を担当し、アニメーション制作はゼロジーとセイバーワークスが担っています。

Season 3では舞台が伊豆からパラオへ広がり、海外の海を前に、伊織たちの騒動とダイビングが描かれます。

放送日や制作体制は、2026年7月時点のTVアニメ『ぐらんぶる』Season 3公式発表に基づく情報です。話数や今後の放送予定は変更される可能性があるため、最新情報は公式発表で確認してください。

なお、原作コミックスの累計発行部数は更新される数字です。部数を確認する際は、講談社の作品ページやアニメ公式サイトなど、発表時点が明記された情報を見る必要があります。

『ぐらんぶる』を初めて観る人にとって重要なのは、本作が大学生の騒動だけを描いた作品ではないという点です。

笑いは入口ですが、物語の芯にあるのは、泳ぎが苦手な伊織が仲間を信頼し、知らなかった海の美しさへ近づいていく変化です。

この二つの顔を知ると、PaBの騒々しい日常が、ただの脱線ではなくなります。


主人公・北原伊織と主要キャラクターの関係は?

北原伊織を中心とする人物関係の魅力は、全員が互いの欠点を知りながら、それでも同じ場所へ戻ってくることです。

恋愛だけに偏らず、悪友、先輩、家族、仲間という複数の関係が重なることで、『ぐらんぶる』の青春には独特の厚みが生まれています。

北原伊織|被害者から騒動の中心へ成長する主人公

北原伊織は、華やかな大学生活を望みながら、毎回のように自分から騒動を拡大してしまう主人公です。

一見すると普通の青年ですが、間の悪い発言と異様な適応力によって、何も起きていない場所から事件を生み出します。

当初はPaBの先輩たちに振り回される側でした。

しかし大学生活へ慣れるにつれ、伊織自身も騒動を止める側ではなく、積極的に加速させる側へ回っていきます。

被害者だった男が、気づけば騒動の主力選手になっている。人間の環境適応力を、あまり見習いたくない方向へ証明しています。

それでも伊織は、単なる軽薄な主人公ではありません。

相手をからかい、弱点を笑いへ変えることはあっても、その人が本気で大切にしているものを、最後の一線では踏みにじらない人物です。

耕平のアニメ趣味を容赦なく利用する一方で、趣味そのものを否定しているわけではありません。千紗が海を愛する気持ちも、最初は理解できなくても、少しずつ受け止めようとします。

伊織の優しさは、立派な言葉ではなく、相手が本当に困った場面での行動に表れます。

普段の言動があまりにも残念だからこそ、ふと見せる誠実さが強く残る。ギャグで下げた好感度を、土壇場の行動で一気に回収してくる主人公です。

今村耕平|裏切り合っても関係が壊れない悪友

今村耕平は、伊織と同じ大学に通う金髪の青年です。

容姿は整っていますが、アニメや声優への愛情を最優先する人物であり、その情熱を隠そうとしません。

伊織と耕平は、相手を出し抜くためなら驚くほど頭が回ります。

自分だけ助かるために相手を売り、恋愛や見栄をめぐるくだらない勝負へ全力を注ぎ、場合によっては成功することより相手の失敗を喜びます。

表面的には最低です。

しかし、本当に片方が傷ついた場面では協力するため、二人の関係は簡単には崩れません。

友情を美化しないことが、逆に二人の信頼を強く見せています。

格好いいところだけを見せ合うのではなく、醜態も欲望も失敗も知られている。それでも翌日には隣にいるという事実が、伊織と耕平なりの友情なのです。

古手川千紗|物語を海へ戻すヒロイン

古手川千紗は、ダイビングを心から愛する伊織の従妹です。

普段は冷静で、伊織や耕平の騒動に厳しい視線を向けています。しかし海の話になると、言葉や表情に明確な熱が宿ります。

千紗は恋愛面だけを担うヒロインではありません。

彼女の大きな役割は、陸上の騒動へ脱線し続ける物語を、何度でも海へ戻すことです。

伊織が水を怖がっていると分かったときも、単純に根性を求めるのではなく、水に慣れるための段階を示します。

千紗が海を好きでいるからこそ、視聴者も「この作品が何度も戻りたくなる海には、騒動とは別の価値がある」と信じられます。

彼女の視線は、作品にとっての方位磁針です。

どれだけ伊織たちが暴走しても、千紗が海を見つめた瞬間、物語の中心がどこにあるのかが分かります。

時田信治と寿竜次郎|海では命を預けられる先輩

時田信治と寿竜次郎は、PaBの中心となる先輩です。

陸上では後輩を強引に騒動へ巻き込み、伊織が思い描いていた大学生活を開始直後から破壊します。

しかし海へ入ると、二人の印象は大きく変わります。

初心者の状態を確認し、無理をさせず、必要な知識を伝えながら安全を優先する。ダイビングに関しては、経験者として信頼できる先輩です。

もちろん、『ぐらんぶる』は専門的な講習教材ではありません。

それでも、海を楽しむには知識、準備、仲間との確認が必要だという基本姿勢は描かれています。

普段はできれば距離を取りたいのに、海では背中を預けられる。

この矛盾した人物像が、時田と寿を単なる迷惑な先輩で終わらせません。

吉原愛菜|常識人に見えて予測不能な仲間

吉原愛菜は、青海女子大学に通うPaBのメンバーです。

初登場時には派手な化粧をしていましたが、素顔は素朴で、普段は伊織たちの暴走へツッコミを入れる側に回ります。

ただし、愛菜を完全な常識人だと思うと危険です。

感情が大きく揺れたり、周囲の勢いに巻き込まれたりすると、止める側から一転して騒動を加速させることがあります。

視聴者が「この人がいれば大丈夫」と安心した瞬間、その安全装置まで一緒に走り出す。

愛菜はツッコミ役であると同時に、誰でもPaBの空気に染まり得ることを示す人物なのです。

※画像はAIによるイメージ

アニメ『ぐらんぶる』の魅力4選とは?

『ぐらんぶる』の魅力は、顔芸だけではありません。ギャグの速度、海中演出の静けさ、格好悪さを共有できる仲間関係、初心者の恐怖を置き去りにしない物語が重なっています。

ここでは、アニメ版ならではの表現を含めて、4つの魅力を整理します。

1.声優の本気がくだらない会話を大事件に変える

アニメ版の大きな魅力は、登場人物の表情と声が一瞬で変化するテンポです。

北原伊織役の内田雄馬さん、今村耕平役の木村良平さんをはじめ、出演者は普通の会話から疑念、怒り、焦り、絶望、絶叫までを高速で切り替えます。

ほんの数秒前まで穏やかに話していた人物が、次のカットでは別作品の強敵のような顔と声になっている。

演技の熱量に対して、争っている内容があまりにも小さい。

この不釣り合いが、アニメ版の笑いを支えています。

時田役の安元洋貴さん、寿役の小西克幸さんによる重厚な低音も印象的です。

本来なら英雄や強敵へ説得力を与えそうな声が、大学生のくだらない駆け引きへ惜しみなく投入されます。

原作漫画では、読者がコマとコマの間を自分の速度で読みます。

一方、アニメでは声優の間、息遣い、声量の急変、効果音が会話の速度を決めます。静かな一言の直後に絶叫をぶつけることで、感情の高低差がより大きくなるのです。

高松信司監督が音響監督と脚本も担う体制は、会話の言葉、芝居、音のタイミングを一体化させやすいと考えられます。

『ぐらんぶる』の笑いは、セリフの内容だけでなく、「誰が、どの間で、どれほど本気で言うか」によって成立しているのです。

2.陸上の騒がしさと海中の静けさが対照的

『ぐらんぶる』をギャグだけではない作品にしている最大の要素は、陸上と海中で演出の呼吸が大きく変わることです。

陸上では会話が途切れず、表情は激しく変形し、人物が画面の中をせわしなく動きます。

一方、伊織が海中の景色へ触れる場面では、音の密度が下がります。

青い光の揺れ、魚の動き、呼吸、視線、仲間との合図。言葉で説明しすぎず、伊織が見ている景色を視聴者にも体験させる構成です。

陸では誰かが常に叫んでいるのに、水中では大声も言い訳も使えません。

相手の状態を見て、合図を確かめ、同じ速度で進む必要があります。

この環境の変化が、人物関係まで違って見せます。

陸上では互いを罠にはめる伊織と耕平も、海では仲間の安全を無視できません。普段は問題ばかり起こす時田や寿も、水中では初心者を導く先輩になります。

つまり海中の静けさは、単なる美しい休憩場面ではありません。

陸上の騒動によって隠れていた信頼関係を、言葉の少ない環境で浮かび上がらせる装置です。

激しいギャグの直後に静かな青を見せられると、視聴者の感情まで強制的に減速します。

この作品、笑いで心を振り回したあと、海の光でそっとハンドルを戻してくるんですよね。

3.初心者の恐怖を笑いだけで処理しない

伊織は、最初から海へ憧れている主人公ではありません。

泳ぎが苦手で、水を怖がり、ダイビングへ積極的になれない人物です。

作品はその恐怖を、「勇気を出せ」「飛び込めば何とかなる」という一言だけで処理しません。

浅い場所で水へ慣れること。

器材を使えば水中でも呼吸できると知ること。

経験者がそばにいると確認すること。

そうした段階を踏むことで、伊織の中にあった「水は怖い」という認識が、少しずつ「水の中には知らない景色がある」という興味へ変わります。

重要なのは、恐怖が突然消えるわけではないことです。

怖くなくなったから進むのではなく、怖さを抱えたまま一歩ずつ進む。

その過程があるため、伊織が海中の景色に心を動かされる場面には、正統派の成長物語としての説得力があります。

ダイビング経験者の英雄ではなく、水が苦手な初心者を主人公にしたことで、視聴者は説明を受けるだけでなく、伊織と一緒に海を発見できます。

笑いの多い作品でありながら、初心者の不安を置き去りにしない。この誠実さが、ダイビング題材への興味にもつながっています。

4.格好悪い自分を見せても戻れる居場所がある

『ぐらんぶる』の登場人物は、遠慮なく互いをからかいます。

伊織は耕平の趣味を利用し、耕平も伊織の欲望や失敗を容赦なく暴きます。千紗は伊織へ冷たい視線を送り、愛菜も感情に振り回されます。

それでも、相手が本気で大切にしている「好き」まで完全に否定することはありません。

千紗が海を愛していること。

耕平がアニメや声優を愛していること。

時田と寿がダイビングと仲間を大切にしていること。

全員の情熱は違いますが、その違いを消して同じ人間になろうとはしません。

むしろ、他人の趣味や欠点を知ったうえで、一緒にいられる関係が描かれています。

伊織たちは何度も失敗し、醜態をさらします。

それでも次の日になれば、また同じ店や大学へ集まります。

格好悪い姿を見られても、関係が終わらない。

失敗しても、その場から追い出されない。

この安心感があるから、視聴者は登場人物の騒動を笑えます。失敗が人生の破滅へ直結する世界では、ここまで無邪気には笑えません。

『ぐらんぶる』が描く居場所は、「立派な自分だけが参加できる場所」ではないのです。

駄目な部分も、くだらない欲望も、過去の失敗も知られている。それでも仲間として扱われる。

その関係性が、派手なギャグの下で静かに作品を支えています。


Season 1からSeason 3まで物語はどう変わる?

Season 1は伊織が仲間と海を知る物語、Season 2は家族や恋愛を含む人間関係が広がる物語、Season 3はパラオでダイビング要素が再び前面に出る物語です。

大きな展開のネタバレを避けながら整理すると、各シーズンの役割は次のように分けられます。

  • Season 1: 伊織の大学入学、PaBへの参加、主要人物との出会い、水に慣れていく過程を描く
  • Season 2: 新たな人物が加わり、恋愛、家族、大学生活の人間関係がさらに複雑になる
  • Season 3: 舞台をパラオへ広げ、海外での騒動とダイビングを描く

Season 1では、伊織と耕平の悪友関係、千紗との距離、愛菜の加入、時田や寿への印象の変化など、作品の基本となる関係性が築かれます。

シリーズを初めて観る場合は、Season 1の第1話から順番に観るのが自然です。

第1話だけでは、勢いの強い大学コメディという印象が残るかもしれません。しかし伊織が水へ慣れ、海中の景色に触れる序盤まで進むと、本作が持つ二つの顔をつかみやすくなります。

Season 2では、北原栞、毒島桜子、乙矢尚海らが登場します。

伊織を中心とする関係がPaBの仲間だけにとどまらず、家族や恋愛感情へ広がることで、誰が誰をどう見ているのかが複雑になります。

ギャグの勢いは維持しつつ、伊織の何げない優しさや、周囲の感情が以前より見えやすくなるシーズンです。

Season 3では、ダイビングショップ「ドルフィン」のパラオ支店を手伝うため、伊織たちが海外へ向かいます。

公式イントロダクションでは、奈々華から人手不足の支店を手伝ってほしいと頼まれる流れが示されています。一方、耕平は海外ではアニメをリアルタイム視聴しにくいことを気にします。

世界有数の海を前にしても、判断基準がアニメの放送時間。

趣味への重心が一切ぶれないところに、耕平という人物の強さがあります。

Season 3は舞台の規模を広げながら、シリーズ初期から続く「騒がしい日常と美しい海」の対比を、より大きな景色で描くシーズンといえるでしょう。

ただし、この記事の中心は最新シーズンの個別情報ではなく、『ぐらんぶる』という作品全体のあらすじと魅力です。

放送局、配信サービス、各話の放送日などを知りたい場合は、2026年7月時点のアニメ公式サイトで最新情報を確認してください。


『ぐらんぶる』はどんな人におすすめ?

『ぐらんぶる』は、勢いのあるギャグと、仲間同士の信頼が見える青春作品を楽しみたい人に向いています。

特に、次のような人は作品の魅力を感じやすいでしょう。

  • テンポの速い会話や顔芸が好きな人
  • 男同士の遠慮のない悪友関係が好きな人
  • 大学生のくだらない日常を全力で描く作品が好きな人
  • ギャグだけでなく、友情や成長も楽しみたい人
  • 海中の美しい映像やダイビング題材に興味がある人
  • 声優陣の振り切った演技を味わいたい人

一方で、作品のノリは好みが分かれます。

激しい宴会、誤解から始まる騒動、肌の露出を用いたコメディ、登場人物同士の容赦ないやり取りが多いため、落ち着いた日常アニメを求める人には刺激が強いかもしれません。

現実的で穏やかな大学生活だけを期待すると、序盤の勢いに圧倒される可能性もあります。

ただ、第1話の騒がしさだけで作品全体を判断するのは少しもったいないと感じます。

伊織が水への不安と向き合い、仲間の助けを受けながら海中の景色へ近づく場面まで観ると、なぜ彼がPaBから離れないのかが見えてくるからです。

ギャグの好みが合うか確かめつつ、序盤のダイビング回まで観る。

初見の人には、この見方が『ぐらんぶる』の魅力を最も判断しやすいでしょう。


『ぐらんぶる』はなぜギャグだけでは終わらない?アニメ評論家として考察

ここからは私見ですが、『ぐらんぶる』が長く支持される理由は、ギャグの下に「失敗しても戻れる居場所」があるからだと考えます。

登場人物たちは、模範的な青春を送りません。

大会で優勝することや、大きな夢をかなえることだけが物語の中心ではなく、その場では重要でも人生全体では何の役に立つか分からない勝負へ本気になります。

どうすれば自分だけ怒られずに済むのか。

誰が周囲から格好よく見られるのか。

どうすれば相手より先に恋人を作れるのか。

冷静に考えれば、かなりどうでもいい問題です。

しかし、学生時代を振り返ったときに強く残るのは、案外そうした説明しにくい時間だったりします。

無駄だった。

くだらなかった。

でも、あの日にしかできなかった。

『ぐらんぶる』は、その感覚を極端なギャグへ変換した作品ではないでしょうか。

特にアニメ版では、声優陣が冗談を冗談として軽く流しません。

登場人物本人にとっては人生最大の危機であるかのように、全力で叫び、怒り、絶望します。

視聴者は問題の小ささを知っているのに、演技と音響だけは壮大です。

この「出来事の小ささ」と「表現の大きさ」の差が、笑いを生みます。

一方、海へ入る場面では、音も動きも抑えられます。

陸上で積み上げた騒音が消えることで、呼吸音や水の揺らぎ、仲間を見る視線が強く意識される。まるでカメラが、騒動に隠れていた人物の本音を探しているようです。

筆者としては、ここに『ぐらんぶる』のアニメ版ならではの価値を感じます。

原作漫画では、静かなコマを読む時間は読者が決めます。

アニメでは、制作者が沈黙の長さを決めます。あえて会話を止め、視聴者を青い画面の中へ滞在させることで、海中の静けさが物語上の意味を持つのです。

陸上では互いを売り渡す伊織と耕平。

後輩を騒動へ巻き込む時田と寿。

伊織へ厳しい千紗。

それぞれの関係が、海では違った姿を見せます。

水中では、大声で自分を正当化できません。

相手の合図を見て、状態を確認し、同じ景色を共有するしかない。

だからこそ、普段は言葉で隠されている信頼が見えやすくなります。

『ぐらんぶる』におけるダイビングは、単なる珍しい題材ではありません。

登場人物から余計な言葉を奪い、行動だけで関係性を見せるための舞台でもあるのです。

もう一つ注目したいのは、登場人物たちが他人の「好き」を完全には否定しない点です。

もちろん、伊織たちは互いの趣味を遠慮なくネタにします。

しかし、千紗の海への情熱や、耕平のアニメへの情熱を消そうとはしません。

好きなものが違っていても同じ場所にいられる。

価値観が一致していなくても、仲間として関係を続けられる。

この距離感は、全員が同じ目標へ向かう青春作品とは異なる魅力を持っています。

『ぐらんぶる』が描く青春は、きれいに整理された思い出ではありません。

失敗し、誤解され、恥をかき、ときには仲間を裏切る。それでも翌日にはまた顔を合わせ、同じ海へ向かいます。

筆者としては、本作を「ダイビングを題材にしたギャグアニメ」だけではなく、格好悪い自分まで仲間との思い出に変えていく物語だと捉えています。

完璧な自分でなくても、その場所にいていい。

失敗しても、次の一日がある。

この安心感があるからこそ、登場人物たちの騒動は、ただ不快な失敗談ではなく、笑える青春として成立しているのです。

Season 3で舞台がパラオへ広がっても、作品の核は大きく変わらないと考えられます。

伊豆より広い海、慣れない海外、新しい環境へ進んでも、伊織たちは騒ぎ、失敗し、互いをからかい、それでも最後には同じ景色を見るのでしょう。

舞台が変わるほど、変わらない関係が目立つ。

パラオ編は、美しい海を見せるだけでなく、これまで築かれた仲間同士の信頼を別の環境で確かめる物語としても注目できます。


まとめ|『ぐらんぶる』は笑いと海の静けさが同居する青春アニメ

アニメ『ぐらんぶる』は、伊豆で大学生活を始めた北原伊織が、ダイビングサークル「Peek a Boo」の仲間と出会い、水への不安を抱えながら海の魅力を知っていく青春コメディです。

伊織は時田や寿の騒動へ巻き込まれ、耕平と裏切り合い、千紗から厳しい視線を浴びながら、理想とは正反対の大学生活を送ります。

しかし、失敗だらけの日々の中で、仲間を信頼することと、海中でしか見られない景色を知っていきます。

本作の魅力は、顔芸や高速の掛け合いだけではありません。

声優陣がくだらない争いへ本気の演技を注ぐ面白さ、陸上の騒がしさから海中の静けさへ切り替わる演出、初心者の恐怖を段階的に描く誠実さ、格好悪い姿を見せても戻れる仲間関係があります。

笑っていたはずなのに、気づけば海の青さに心を持っていかれる。

『ぐらんぶる』は、ギャグとダイビングの落差によって、どうしようもなくくだらない時間まで青春へ変えてしまう作品です。


よくある質問

アニメ『ぐらんぶる』はどんな話ですか?

大学生の北原伊織がダイビングサークル「Peek a Boo」の仲間と出会い、騒がしい大学生活を送りながら、水への不安と向き合って海の魅力を知る物語です。

『ぐらんぶる』はギャグだけのアニメですか?

ギャグの比重は大きいものの、伊織の成長、仲間同士の信頼、初心者が海へ近づく過程、美しい海中演出も描かれています。

アニメ『ぐらんぶる』はどこから観ればよいですか?

初めて観る場合はSeason 1の第1話から順番に観るのがおすすめです。序盤のダイビング回まで進むと、騒がしいギャグと静かな海中世界という二つの魅力が分かります。

神原 誠一(かんばら せいいち)
アニメ評論家 × 戦略ブロガー × 感情翻訳家
ブログ『アニメ反射鏡』
「語らずにいられない感情、それが名作。」

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