『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』2話では、新卒社員を泣かせて落ち込む佐々木に、田山が「笑顔」を伝授。後半では逆に佐々木が落ち込む田山を支え、二人の関係が“支え合う相手”へ変わります。
前半の笑顔練習、煙草臭へのクレーム、温かい飲み物、上着を掛ける田山、そして「にぶす木」まで。第2話「スーパーの裏で添えるふたり」は、タイトルどおり互いの気持ちに何かを“添える”回でした。
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』2話では何が起きた?
第2話「スーパーの裏で添えるふたり」は、佐々木が新卒社員を泣かせた悩みを田山に打ち明け、田山から笑顔の作り方を教わる前半と、今度は落ち込んだ田山を佐々木が支える後半で構成されています。
TBSの公式あらすじでは、「新卒の社員を泣かせてしまった」と反省する佐々木がスーパー裏で田山と再会し、田山から「あること」を伝授されると紹介されていました。実際の本編で、その“あること”として描かれたのが笑顔の作り方です。TBS+1
第2話の主な流れを時系列で整理すると、こうなります。
- 仕事帰りの佐々木は山田の接客を受けても元気が出ない
- スーパー裏の喫煙所で田山と再会する
- 佐々木は、新卒社員を泣かせてしまったことを打ち明ける
- 田山は「そのうち佐々木がいい人だと分かる」という趣旨で励ます
- 佐々木は山田のような笑顔ができればと漏らす
- 田山が接客で使う笑顔を実演し、佐々木にも笑顔の作り方を教える
- 後日、新卒社員とのわだかまりは解ける
- 今度は煙草臭へのクレームを受けた田山が落ち込む
- 佐々木が温かい飲み物を買い、田山の話を聞く
- 寒そうな佐々木へ田山が自分の上着を掛ける
- 山田と田山が同一人物だと気づかない佐々木は、さらに“鈍感”ぶりを発揮する
こうして並べると、第2話が単なる「佐々木が励ましてもらう話」ではないことが分かります。
前半では田山が佐々木に寄り添い、後半では佐々木が田山に寄り添う。
この“役割の反転”こそ、第2話最大のポイントです。
第1話では、田山が佐々木へ喫煙場所を提供しました。
第2話では、場所だけではなく感情まで互いに預け始める。
一服するだけだった二人の間に、ちゃんと「関係」が生まれ始めています。
なお、第2話は2026年7月16日深夜にTBSで放送。佐々木役は佐藤拓也さん、山田/田山役は星希成奏さん、アニメーション制作は旭プロダクションです。TBS
佐々木はなぜ新卒社員を泣かせた?落ち込んでいた理由
佐々木は、新卒社員を怒鳴ったり厳しく叱責したりしたわけではありません。
仕事でミスをして落ち込んでいた新人を励まそうとしたものの、その言葉が意図とは違う形で伝わり、相手を泣かせてしまったことを気にしていました。Yahoo!ニュース
ここが佐々木という人物を理解するうえでかなり重要です。
彼が気にしているのは、「部下に泣かれて自分の立場が悪くなる」ことではありません。
相手が仕事そのものを嫌いになってしまったのではないか、と心配している。
つまり佐々木は、自分がどう評価されたか以上に、自分の言葉が相手へ何を残してしまったのかを気にする人なんですよね。
だから引きずる。
仕事帰りにスーパーへ行き、いつものように山田の笑顔を見ても回復できない。
普段なら山田の接客が佐々木にとって癒やしなのに、第2話ではその“いつもの回復手段”さえ効かないほど落ち込んでいます。Yahoo!ニュース
この描写によって、佐々木の疲れが単なる「今日も仕事しんどかったわ~」ではなくなる。
ちゃんと罪悪感なんです。
しかも田山に「俺って怖いのかな」と尋ねてしまう。
自分が相手からどう見えているのか、本気で分からなくなっているわけです。
僕はここで、第1話より佐々木というキャラクターの解像度がかなり上がったと感じました。
第1話では「山田さんの笑顔を楽しみに生きる、くたびれた会社員」という可愛げが印象的でした。
でも第2話では、他人への気遣いが強すぎるからこそ、自分の失敗も必要以上に背負ってしまう男だと分かる。
落ち込み方そのものが佐々木の人柄を説明している。
わざわざ「佐々木は優しい人です」とナレーションで説明しなくても、行動で見せてくれるんですよね。

田山が佐々木に伝授した「あること」とは?答えは笑顔
公式あらすじで伏せられていた、田山が佐々木に伝授する“あること”。
答えは、笑顔の作り方です。
佐々木は、自分も山田のような笑顔で接することができれば、新卒社員を怖がらせずに済むのではないかと考えます。
すると田山は、スーパーでは笑顔の練習をするのだと話し、目元や表情筋、歯の見せ方まで意識した接客用の笑顔を実演します。Yahoo!ニュース
その笑顔は当然、スーパーで佐々木が毎日のように癒やされている山田の笑顔そのもの。
ここで視聴者としては思うわけですよ。
「いや佐々木、気づけ。今だ。今しかないぞ」
しかし気づかない。
それどころか佐々木は、田山の見事な笑顔を見て笑ってしまう。
そして田山から頬を触られながら、半ば強制的に笑顔を作らされることになります。Yahoo!ニュース
この場面、ラブコメ的な距離だけを見ればかなり近い。
顔も近い。
指も触れる。
田山は山田そのものの表情まで出している。
物理距離はゼロ距離級なのに、正体までの距離だけ異様に遠い。
佐々木、鈍感力のステータスだけカンストしています。
ただ、この笑顔練習を単なるギャグで終わらせないところが本作の上手さです。
佐々木は「怖がられない方法」を知りたい。
田山はその悩みに対し、大げさな人生論を語るのではなく、自分が仕事で身につけた具体的な技術を渡す。
つまり田山は、「大丈夫ですよ」と励ますだけではなく、佐々木が明日から実際に使える小さな手札を一つ渡しているんです。
これがサブタイトルの「添える」にもつながっているように思います。
問題そのものを代わりに解決するのではない。
少しだけ力を添える。
感情を全部背負うのでもない。
一歩進めるものを渡す。
田山の優しさって、意外と実務派なんですよね。
新卒社員との結末は?田山の言葉どおり佐々木の人柄が伝わる
田山から笑顔を教わった後、佐々木が抱えていた新卒社員との問題も動きます。
後日、新卒社員側から佐々木へ、泣いてしまったことについて謝罪があり、佐々木がいい人であること自体は分かっていたことも伝えられます。Yahoo!ニュース
つまり田山が先に言っていた「そのうち佐々木の良さに気づく」という見立ては、大きく外れていませんでした。
ここが地味に気持ちいい。
田山は佐々木を根拠なく持ち上げていたわけではないんですよね。
短い付き合いの中でも、佐々木がどういう人なのかをある程度見抜いていた。
その後、元気を取り戻した佐々木は再びスーパーへ向かい、いつもの山田の接客に癒やされます。
ところが山田=田山側には、さっき自分の渾身の笑顔を笑われた記憶が残っている。
表では接客スマイル。
中身では「さっき笑ったよな、この人……」状態。
この情報差、めちゃくちゃおいしいです。
山田と田山が同一人物であることを知らない佐々木だけが、何も知らず通常運転。
視聴者は全部知っている。
そして田山も、佐々木が気づいていないことを知っている。
この構造によって、同じ「笑顔」が、
- 佐々木にとっては癒やし
- 田山にとっては仕事の技術
- 二人の間では正体へつながるヒント
- 視聴者にとっては「なんで気づかないんだ」という笑い
という複数の意味を持ちます。
こういう小道具ならぬ“小表情”の使い回し、映像作品としてかなり好きです。
後半は立場が逆転|煙草臭へのクレームで田山が落ち込む
第2話後半では、今度は田山が落ち込む側になります。
佐々木がスーパー裏の喫煙所を訪れると、そこには不機嫌そうな田山。
灰皿には大量の吸い殻があり、普段とは明らかに違う雰囲気です。ABEMA TIMESでも、この場面では田山が不機嫌な様子で、佐々木が温かい飲み物を買う流れが紹介されています。ABEMA TIMES
原因は、田山の煙草の匂いについて客からクレームが入ったこと。
店長から必要以上に気にしなくていいと言われても、田山自身は簡単に気持ちを切り替えられません。Yahoo!ニュース
ここで面白いのが、前半との反転です。
前半では、
落ち込む佐々木 → 田山が話を聞く
でした。
後半では、
落ち込む田山 → 佐々木が話を聞く
になる。
しかも佐々木は、田山を無理に元気づけようとはしません。
煙草を吸うより温かいものでも飲もうと、自動販売機へ向かいます。ABEMA TIMES
この選択がいい。
悩んでいる人の横で「元気出せって!」を連打するんじゃない。
とりあえず温かいものを渡す。
話したければ聞く。
煙草を吸う気分じゃないなら、吸わなくてもいい。
感情に土足で入らず、隣に座れる余白だけ作る。
佐々木さん、それ前半で自分がしてもらったやつです。
第2話は、田山から受け取った優しさを佐々木がそのままコピーするのではなく、自分なりの形で返しているんですよね。
この往復があるから、二人の距離が縮んだというより、もっと正確には関係が一方向ではなくなったと感じます。
田山だけが面倒を見るわけではない。
佐々木だけが癒やされるわけでもない。
互いに調子の悪い日に相手側へ回れる。
これ、大人同士の関係としてかなり重要です。
田山が佐々木に上着を掛ける場面はなぜ印象的?
田山の気持ちが最も分かりやすく画面に出るのが、後半の上着の場面です。
薄着だった佐々木が寒さでくしゃみをすると、田山は自分の上着を佐々木の肩へ掛けます。
しかも、そのまま袖口を少しつかみ、佐々木との距離を残す。Yahoo!ニュース

ここ、僕は第2話の映像的なハイライトだと思っています。
笑顔練習の場面では、田山が顔を近づけるという分かりやすい“近さ”がありました。
でも上着の場面はもっと静か。
台詞で感情を説明しすぎず、上着と指先で距離を描く。
アニメで関係性を表現するとき、抱きしめたり告白したりすれば分かりやすい。
でも『ヤニすう』は、そこまで行かない。
肩に上着を掛ける。
袖を少しつまむ。
たったそれだけ。
この「届きそうで全部は触れない距離」が本作なんですよね。
感情を大声で実況しない。
カメラが指先を拾えば、それで十分。
僕の好きな言い方をするなら、この作品、感情をセリフで投げずに仕草へ預けてくる。
だから効く。
しかも直前まで落ち込んでいたのは田山側です。
佐々木の言葉によって少し気持ちがほぐれ、その返事のように上着を掛ける。
前半の「笑顔を教える」が佐々木への実用的な優しさなら、後半の「上着を掛ける」はもっと身体的で直感的な優しさ。
同じ一話の中で、二種類の距離の縮まり方を描いています。
山田と田山に気づかない佐々木、「にぶす木」はなぜ成立する?
第2話では、佐々木の“鈍感”ぶりもさらに加速します。
田山は目の前で、山田とほぼ同じ接客スマイルを披露しています。
それでも佐々木は気づかない。
さらに後の場面では、スーパー裏で偶然山田と会った佐々木が、田山との関係について話します。
それでもなお、山田=田山という答えにはたどり着かない。
その鈍さから、山田側が心の中で佐々木を「にぶす木」扱いするユーモラスな流れまで描かれました。Yahoo!ニュース
でも僕は、この鈍感設定を単なるご都合主義だけでは見ていません。
佐々木の中で、
山田=理想のスーパー店員
田山=スーパー裏で煙草を吸う、距離の近い女性
という人物像が完全に別フォルダへ保存されているからです。
人間って、顔だけで相手を認識しているわけじゃないんですよね。
場所、服装、口調、表情、立場。
それら全部で「この人はこういう人」と判断している。
スーパー店内で丁寧な接客をする山田と、裏手で煙草をくわえながら佐々木をからかう田山。
佐々木の中では、そもそもカテゴリーが違いすぎる。
だから似た笑顔を見ても、「山田さんだ!」ではなく「田山さんもこんな表情するんだ」で処理される。
もちろん、それにしても鈍い。
鈍いんだけど。
ただ、この鈍さがあるからこそ田山は、山田として見せる“仕事の顔”と、田山として見せる“素の顔”の両方を佐々木に受け入れてもらえる状態になっています。
ここが本作最大の面白さです。
佐々木は山田に癒やされている。
しかし田山が落ち込んでいたら、田山にも優しくする。
つまり佐々木は知らないうちに、同じ一人の女性の「好きな面」と「面倒な面」の両方へ肯定的に接している。
正体を見抜く頭脳戦ではなく、
正体を知らないからこそ、人柄への評価だけが先に積み上がっていく。
この構造、地味に強いです。
「スーパーの裏で添えるふたり」というタイトルの意味を考察
ここからは筆者の考察です。
第2話タイトル「スーパーの裏で添えるふたり」の“添える”は、僕は相手の問題を解決するのではなく、その人が自分で立ち直るための何かを少しだけ渡すことだと考えています。
前半では田山が、佐々木に言葉を添える。
さらに笑顔の作り方を添える。
後半では佐々木が、田山に温かい飲み物を添える。
そして相手を否定しない言葉を添える。
最後には田山が、寒そうな佐々木へ上着を添える。
誰も相手の人生を全部背負っていません。
解決してあげてもいない。
あと一個あれば少し楽になるものを、相手の横へ置いていく。
この距離感がタイトルに集約されているように感じます。
恋愛アニメなら、二人を急接近させるイベントはいくらでも作れます。
雨宿り。
事故。
告白未遂。
酔った勢い。
でも『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』第2話がやるのは、笑顔の練習と温かい飲み物と上着です。
イベントとして見ると小さい。
しかし関係性として見ると大きい。
なぜなら第1話では、田山が佐々木に「煙草を吸える場所」を与えたにすぎなかったから。
第2話ではお互いに、機嫌の悪い自分や、自信のない自分を見せている。
一度目は場所を共有した。
二度目は弱さを共有した。
ここが決定的に違います。
僕なら第2話を、「喫煙仲間になった回」ではなく「相手の不調に気づける関係になった回」と評価します。
恋より先に、気遣いが来る。
告白より先に、温度を渡す。
感情にドリフトをかけながら、ちゃんと目的地には近づいている。
この速度が『ヤニすう』です。
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』2話の見どころまとめ
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』第2話「スーパーの裏で添えるふたり」では、新卒社員を泣かせてしまった佐々木が田山へ悩みを打ち明け、公式あらすじで伏せられていた“あること”=笑顔の作り方を教えてもらいます。TBS+1
そして後半では立場が逆転。
煙草臭へのクレームで落ち込む田山に、今度は佐々木が温かい飲み物と言葉を添える。
最後には田山が寒そうな佐々木へ上着を掛ける。
第1話が「出会って一緒に煙草を吸った話」なら、第2話は互いの調子が悪い日に、隣へいられるようになった話です。
特に印象的なのは、二人とも相手を無理に変えようとしないこと。
笑顔を一つ教える。
飲み物を一つ渡す。
上着を一枚掛ける。
小さい。
でも、それでいい。
むしろ大人になるほど、この「小さい気遣い」が効くんですよね。
スーパーの表では山田と客の佐々木。
スーパーの裏では田山と喫煙仲間の佐々木。
そして第2話からは、そのどちらにも少しずつ別の感情が混ざり始めました。
顔を近づけても正体には気づかない。
なのに、心の不調には気づく。
佐々木さん、人を見る目があるのかないのか、もう分からん。
でもたぶん、それでいいんです。
第2話は「誰なのか」を見抜く話ではなく、全部を知らなくても相手を気遣えるかを描いた回だったと僕は感じました。
よくある質問
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』2話で田山が伝授した「あること」とは?
笑顔の作り方です。
佐々木が山田のような笑顔で接することができればと話したことをきっかけに、田山がスーパーで身につけた接客スマイルを実演し、佐々木にも表情の作り方を教えます。Yahoo!ニュース
新卒社員を泣かせた佐々木はどうなった?
佐々木は仕事でミスをした新卒社員を励ますつもりが、意図とは違う形で受け取られて泣かせてしまいます。
その後、新卒社員からも謝罪があり、佐々木がいい人であること自体は理解されていたことが分かり、佐々木の悩みはひとまず解消されます。Yahoo!ニュース
第2話で佐々木と田山の関係はどう変わった?
第1話では「一緒に煙草を吸う相手」でしたが、第2話では互いに落ち込んだ姿を見せ、相手を支えるところまで関係が進みました。
田山が佐々木を励ますだけではなく、後半では佐々木も田山を気遣うため、一方向の癒やしではなく“支え合い”が始まった回と捉えられます。
神原 誠一(かんばら せいいち)
アニメ評論家 × 戦略ブロガー × 感情翻訳家
『アニメ反射鏡』──感情を映すアニメ考察メディア



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