『令和のダラさん』第4話では、ダラさんの過去が深まる一方、谷跨斑の分霊「おろち」が初瀬川周に取り憑き、現代で動き始めます。
過去の悲劇、ダラさんのお絵描き修業、謎めいた転校生の登場が交差する、ホラーとコメディの振れ幅が大きな転換回です。
※この記事はTVアニメ『令和のダラさん』第4話のネタバレを含みます。
『令和のダラさん』第4話で何が起きた?内容を先に整理
『令和のダラさん』第4話のタイトルは、第四怪「復活の谷跨斑」です。
TOKYO MXでは2026年7月23日に放送され、公式あらすじでは、薫から過去を絵で説明してほしいと頼まれたダラさんの悪戦苦闘と、日向のクラスへ編入してきた初瀬川周の登場が告知されていました。
第4話の主な出来事は、次の4点です。
- 過去編で姉巫女が妹巫女を陥れるために人々を誘導する
- ダラさんが薫へ過去を伝えるため、絵の勉強を始める
- 谷跨斑の頭部側から生じた分霊「おろち」が復活の機会を狙う
- おろちに取り憑かれた初瀬川周が日向のクラスへ転入する
ここで正確に整理しておきたいのは、現在の日向と薫が「ダラさん」と呼んでいる存在と、周に取り憑いている存在の関係です。
公式の登場人物紹介によれば、屋跨斑は頭部を西の村、胴体を東の村に封じられています。ダラさんは半人半蛇の体と6本の腕を持つ屋跨斑であり、周に取り憑いている「おろち」は、頭部から生じた分霊のような存在です。
したがって、第4話で周の体を通して動き始めたのは、谷跨斑の頭部そのものと断定するより、頭部側の分霊であるおろちと表現するほうが正確でしょう。
しかも、初瀬川周は単なる「操られた少女」ではありません。
公式設定では、周は12歳の夏に突然倒れ、急激に成長した後、最近になって目を覚ました中学2年生です。おろちに取り憑かれながらも、日向へ向ける周自身の強烈な感情は残っています。
怪異が人間を器として完全支配する王道ホラーを想像したら、人間側のキャラが濃すぎて怪異まで困惑する。
怖い扉を開けたはずなのに、向こうからコメディが全力疾走してくる。この温度差が、第4話らしさでした。
姉巫女はなぜ妹巫女を陥れた?ダラさんの悲しい過去
第4話の過去編では、妹巫女が破滅へ追い込まれていく背景に、双子の姉である姉巫女の悪意があったことが描かれます。
公式設定によれば、姉巫女は祓い屋一家に生まれた双子の姉です。妹とともに谷跨斑を討伐して首を落とし、その後は頭部を封じた西の村の神社で両親と暮らしています。
しかし、姉は妹を家族として大切にしていたわけではありません。
妹の容姿を蔑み、自分より下の存在として扱いながら、危険や負担の大きい役割を押しつけてきました。妹へ向けられる信頼や好意も、姉にとっては自分の立場を脅かすものだったと考えられます。
第4話で姉が利用したのは、人間の集団心理です。
姉は正面から妹を攻撃するのではなく、東西の村が抱える不信感や、人々の中にある妬みへ少しずつ火をつけます。妹が恐ろしい存在であるかのような印象を広め、自分は表面上の正当性を保ったまま、周囲の手で妹を孤立させようとしました。
妹巫女は生真面目で、他人の悪意をすぐには疑えません。
姉の言葉も村人たちの反応も真正面から受け止めてしまい、自分を中心に罠が閉じていることへ気づくのが遅れます。その誠実さは本来なら美点ですが、悪意を持つ相手の前では逃げ道を塞ぐ鎖になってしまいました。
姉巫女を演じるのは早見沙織さんです。
感情をむき出しにして怒鳴るのではなく、静かな声の中へ冷たさを忍ばせる演技によって、姉の悪意がいっそう不気味に聞こえます。激情ではなく、計算された平静さで妹を追い込むからこそ、この人物は怪異以上に怖いのです。
過去編の画面も、現代の日常パートとは空気が異なります。
人物同士の距離が遠く感じられる構図や、会話の後に残される重い間によって、妹巫女が少しずつ共同体から切り離されていく感覚が強調されていました。派手な怪異の襲撃ではなく、周囲の視線そのものが包囲網になっています。
個人的に第4話で最もぞっとしたのは、姉が自分の悪意を悪意として見せないことでした。
涼しい顔で不安を流し込み、他人が妹を排除する方向へ動くのを待つ。毒を飲ませるのではなく、井戸そのものへ毒を落とすようなやり方です。
怪異が人を襲う前に、人の悪意が怪異をつくってしまう。
『令和のダラさん』の過去編が痛いほど胸に残るのは、祟りの発生源を超常現象だけに求めていないからでしょう。伝承に記録された「恐ろしい化物」の裏側には、人間によって奪われた当事者の物語があります。
ダラさんはなぜ絵を勉強する?薫に過去を伝えるための修業
現代編では、薫がダラさんへ「昔の話を絵で教えてほしい」と頼みます。
公式設定でも薫は画力が高い人物です。その薫にとって、絵は言葉だけでは説明しにくいものを伝える身近な手段なのでしょう。
ところが、ダラさんは絵を描くのが苦手でした。
過去を伝えたい気持ちはあっても、描く技術が追いつきません。そこでダラさんは、認識を妨げる力を使いながら本屋へ入り、イラストの入門書で勉強しようとします。
何百年も存在する祟り神が、令和の初心者向け教材を開いて本気で学ぶ。
設定だけならシュールなギャグですが、ダラさんは決してふざけていません。薫のお願いへ誠実に応えようとしているからこそ、本人の真剣さと状況のズレが笑いになります。
ただし、認識されにくい状態で本を読もうとしても、現代社会の店には現代社会のルールがあります。
怪異としての能力は人間を驚かせるには十分でも、本屋で自由に振る舞える免許証にはなりません。注意されてしまう一連の流れは、ダラさんが令和の文明へ適応していても、社会の仕組みまですべて理解しているわけではないことを示していました。
ダラさんを演じる田村睦心さんの声も、この場面の面白さを支えています。
祟り神らしい威厳を保とうとする低めの調子と、予想外の事態に振り回されたときの反応が素早く切り替わるため、外見の恐ろしさと内面の親しみやすさが同時に伝わってきます。
第4話では、日向と一緒にプラモデルを組み立てる場面も描かれました。
ダラさんの6本の腕は細かな作業に向いているように見えますが、腕が多いだけで組み立て方まで分かるわけではありません。日向に教わりながら新しい遊びへ挑戦する姿からは、彼女が令和の日常を少しずつ吸収していることが分かります。
この絵の練習は、単なる息抜きのギャグではないと私は考えます。
ダラさんの過去は、姉巫女や村人たちの都合によって意味を変えられ、伝承として残されてきました。正確な記録が乏しく、古い家系の口伝に頼る世界では、語る側の立場によって歴史の輪郭まで変わってしまいます。
だからこそ、ダラさん本人が自分の記憶を絵にすることには意味があります。
それは「絵が上手になりたい」という話だけではなく、他人に歪められた自分の物語を、自分の手で描き直す行為です。下手な一枚から始まる伝承の上書き――この演出、笑わせながら感情の奥へ針を残してきます。
過去の妹巫女は、自分の言葉を信じてもらえませんでした。
しかし現代のダラさんには、説明を待ってくれる薫と、隣で遊び方を教えてくれる日向がいます。同じ生真面目さが、過去では利用され、現代では人とつながる力へ変わっているのです。
初瀬川周の正体は?おろちとの関係と日向への思い
第4話後半では、初瀬川周が日向のクラスへ転入してきます。
大人びた外見と落ち着いた雰囲気を持つ周ですが、その背景は普通の転校生とは大きく異なります。公式の人物紹介では、12歳の夏に突然倒れ、急激に成長した後、最近になって目を覚ましたと説明されています。
さらに周には、谷跨斑の頭部側から生じた分霊とみられる「おろち」が取り憑いています。
おろちの担当声優は大塚芳忠さんです。威厳と不穏さを感じさせる重厚な声によって、谷跨斑が積み重ねてきた時間や執念が伝わってきます。
ここで注意したいのは、周がおろちに完全支配されているとは、第4話の段階では断定できないことです。
周の中には本人の記憶や性格が残っており、とりわけ日向への感情は非常に強く表れています。おろちが周を一方的な器として使っているというより、二つの意思が同居しながら互いに影響している状態と見るのが自然です。
周と日向には、幼いころからの接点があります。
周はかつて困っていたところを日向に助けられ、その出来事を忘れずにいました。日向にとっては自然な行動だったとしても、周にとっては人生に深く刻まれるほど大きな出来事だったのでしょう。
その記憶は再会への憧れだけでなく、かなり強い執着にも変化しています。
ミステリアスな転校生として教室へ現れた直後は、谷跨斑側の危険な刺客に見えます。しかし日向を前にした周の反応は、おろちの復活計画よりも本人の感情が前へ出ており、むしろ取り憑いた側が振り回されかねない勢いです。
怪異に取り憑かれた人間ではなく、怪異を困惑させるほど癖の強い人間。
この関係のひっくり返し方が実に『令和のダラさん』らしい。ホラーの定番構図を用意しながら、キャラクターの感情だけで笑いの方向へハンドルを切っています。
おろちにとって、周の体を通して現代で動けることは大きな前進です。
一方で、周が日向を特別視している以上、おろちの目的と周の意思が常に一致するとは限りません。日向や薫を害するような行動を求められれば、周本人が抵抗する可能性もあります。
つまり、おろちは有力な依代を得たと同時に、制御できるか分からない感情まで抱え込みました。
この構造は、単純な敵キャラクターの追加よりずっと面白い。戦力としては脅威でも、関係性としては不安定であり、いつ主導権が逆転してもおかしくありません。
初瀬川周を演じる古賀葵さんの芝居も、人物像の二面性を際立たせています。
大人びた外見に合う静かな話し方と、日向が関わった瞬間に漏れ出す感情の落差が大きく、「何を考えているか分からない少女」から「考えていることが別方向に強すぎる少女」へ印象が変わっていきました。
第4話の制作スタッフと演出は?過去と現代の温度差を分析
第4話の脚本は木村暢さん、絵コンテは藤原良二さん、演出は加藤顕さんが担当しています。
総作画監督は牛ノ濱由惟さん、藤田正幸さん、八木澤修平さん、度会竜司さん。作画監督には重松晋一さん、西川真人さん、本田創一さん、亀田朋幸さんが名を連ねています。
第4話の演出で印象的なのは、過去編と現代編の空気を明確に分けながら、ダラさんの性格を接続点にしていることです。
過去編では、人物間の沈黙や視線が緊張を生みます。姉巫女の言葉を聞いた直後に説明を重ねすぎず、妹巫女の反応や周囲の空気を見せることで、「何かがおかしい」と視聴者に考えさせる余白がありました。
一方、現代編では反応のテンポが速くなります。
ダラさんが真面目に行動するほど状況がズレ、日向や薫の自然な受け答えによってツッコミのリズムが生まれる。恐怖を完全に忘れさせるのではなく、緊張を一度ほどいてから再び過去やおろちへ戻す構成です。
この切り替えが機能する理由は、どちらのパートでもダラさんが同じ人物として描かれているからでしょう。
過去の妹巫女も現代のダラさんも、生真面目で、頼まれたことへ誠実に向き合います。人物の芯がぶれないため、悲劇とギャグが別々の作品に分裂しません。
笑える現代が描かれるほど、過去の理不尽さは重くなります。
本屋で絵を学び、日向とプラモデルを作るダラさんを見た後では、「この人物がなぜ祟り神として恐れられることになったのか」という疑問が消えません。笑った直後、過去の記憶が感情へドリフトをかけてくるわけです。
原作の複数エピソードを再配置していると感じられる部分については、アニメ単独で見た場合、日向や薫とダラさんの距離が急に近くなったように映る場面もあります。
ただし、公式から第4話の具体的な原作該当話数や再構成範囲が明示されているわけではありません。そのため、「原作の何話から何話を前倒しした」と断定するのは避けるべきでしょう。
映像から確実に読み取れるのは、日向と薫がすでにダラさんと一緒に遊び、頼み事もできるほど親しくなっていることです。
関係の進展を示す短い補足がもう少しあれば、アニメ初見の視聴者にも時間経過が伝わりやすかったとは感じます。この点は第4話のテンポの良さと引き換えになった、わずかな弱点です。
『令和のダラさん』第4話の感想|復活より怖いのは人の悪意
『令和のダラさん』第4話で最も重要なのは、谷跨斑側の分霊が動き始めたことだけではありません。
過去を恨みに固定されたおろちと、令和の日常へ踏み出したダラさんの違いが、はっきり見え始めたことです。
現在のダラさんは、過去を忘れたわけではありません。
それでも薫のために絵を学び、日向とプラモデルを作り、新しい遊びや文化を受け入れています。恨みだけを存在理由にせず、止まっていた時間を少しずつ動かしているのです。
対するおろちは、谷跨斑が切り離されたときの執念を抱えた存在に見えます。
もし両者が対立するなら、それは単純な善と悪の戦いではなく、過去の瞬間に閉じ込められた感情と、新しい時間を知った感情の衝突になるでしょう。
ただし、そのおろちも初瀬川周に取り憑いたことで、現代の日常へ引きずり込まれました。
周の言動に振り回され、予定どおりには動けない様子には、ダラさんが日向と薫によって変化した流れと重なるものがあります。怪異が人間へ一方的に影響するのではなく、人間との同居によって怪異の側も変えられていくのかもしれません。
筆者としては、谷跨斑の「復活」を、強大な敵の登場だけで終わらせなかった点を高く評価したいです。
おろちは確かに不穏ですが、周という予測不能な人物と組み合わされたことで、恐怖、笑い、感情的な対立のすべてを生み出せる存在になりました。倒せば解決するボスではなく、対話や変化の余地まで残されています。
そして、現時点で最も怪物的に映るのは、異形のダラさんでもおろちでもなく姉巫女です。
怪異は見た目で恐れられますが、姉の悪意は美しい外見と穏やかな態度の内側に隠れています。見える異形より、見えない嫉妬のほうが人を深く傷つけるという逆転が、本作のホラーを支えています。
過去では、周囲の人々が向ける視線によって妹巫女が怪物にされました。
現代では、日向と薫が向ける恐れのない視線によって、ダラさんが日常へ戻っていきます。第4話は復活の物語であると同時に、「誰かをどう見るか」がその存在の居場所を変える物語でした。
まとめ|第4話はダラさんとおろちの違いが見えた転換回
『令和のダラさん』第4話「復活の谷跨斑」では、姉巫女の策略で妹巫女が追い詰められる過去と、谷跨斑の頭部側から生じた分霊「おろち」が初瀬川周に取り憑いて動き始める現代が描かれました。
一方、ダラさんは薫へ過去を伝えるために絵を学び、日向とプラモデル作りに挑戦します。
初瀬川周は、おろちに完全支配された人物とは断定できません。本人の人格と日向への強い思いが残っており、その感情がおろちの目的と衝突する可能性があります。
過去の恨みにとどまるおろちと、日向や薫との交流によって新しい時間を生き始めたダラさん。
両者の違いが見えたことで、第4話は単なる「祟り神復活回」ではなく、同じ過去から分かれた感情が令和で再会するための導入回になりました。
そして、ダラさんが始めたお絵描き修業には、歪められた伝承を自分の手で描き直す意味も感じられます。
笑えるほど不器用な一枚が、いつか彼女の真実を伝える一枚になる。そう考えると、このギャグパート、あとから涙腺へ効いてくる時限式かもしれません。
よくある質問
『令和のダラさん』第4話のタイトルと放送日は?
第4話のタイトルは、第四怪「復活の谷跨斑」です。
TOKYO MXでは2026年7月23日に放送されました。
初瀬川周は何者?
初瀬川周は、日向のクラスへ転入してきた中学2年生です。
公式設定では12歳の夏に突然倒れ、急激に成長した後、最近になって目を覚ました人物で、谷跨斑の頭部側の分霊とみられる「おろち」に取り憑かれています。
谷跨斑は完全に復活したの?
第4話では、谷跨斑のすべてが一つの体へ戻ったわけではありません。
公式設定では頭部と胴体が別々の村に封じられており、初瀬川周に取り憑いているのは頭部の分霊のような存在である「おろち」です。
初瀬川周はおろちに操られている?
おろちが周へ取り憑いていることは公式設定で示されていますが、周の人格が完全に消えたとは確認できません。
第4話では日向への記憶や感情が強く残っているため、おろちと周の意思が同居している状態と考えるのが自然です。
執筆:神原 誠一(アニメ評論家/ブロガー/エモ設計師)



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